きっかけは現実からの逃避――FPがキャンプにどハマりした理由とは|社長のホントの顔 vol.1
趣味は、週末のキャンプ!
大手證券会社と生命保険会社で豊富な経験を積み、独立した現在はファイナンシャルプランナーとして活躍する薬師寺洋子さんが、今回のお客さまです。
金融業界18年というプロフェッショナルは、はじけるような笑顔とハキハキとした口調が印象的。そんな薬師寺さんの趣味を伺うと、「キャンプ」でした。明るい雰囲気にぴったりの趣味!ご夫婦で週末キャンパーとして滋賀や和歌山、ときに富士山方面へも足を伸ばします。しかしキャンパーへのきっかけは、「現実からの逃避」でした。
―――薬師寺さんは、SNSに時々キャンプの様子をアップしていますね。
キャンプは夫婦共通の趣味なんです。先日は、夫と和歌山の御坊市にあるキャンプ場に行ってきました。川のほとりで、せせらぎの音においしい空気、夜は満天の星空!星が本当に美しかったんですよ。
お月様は半月でしたが、その月あかりでも空の星はよく見えていたので、新月の夜なら、もっとたくさんの星が眺められるでしょう。
―――うわあ。まさにキャンプの醍醐味ですね。
普段生活する中では、なかなか自然を身近に感じられませんよね。
私、焚火が大好きなんです。薪のはぜる音が、気持ちをリラックスさせてくれるから。それに、やはり自然の雄大さを感じられるところも好き。
寝転んで、まるで夜空から降ってくるんじゃないかと思えるほどの星たちを眺めて「ああ、夜空にはこんなにたくさんの星が瞬いているんだな」とか。ある朝、テントの入口をパッと開けると目の前にバーンと富士山が見えて、その姿に息を呑んだこともあります。もう、そういった大きな自然の景色に、偶然出合えたら感動しますよね。
曇っていたりガスで見えなかったり、タイミングが合わない日もあります。だからこそ貴重な出合いですよね。富士山なんて新幹線から何度も見たのに、キャンプで「ああ、やっぱり富士は日本一の山だ」って、ようやく感動したくらいです。
―――キャンプでは、食事も楽しみの一つですね。
冬は寒いので、やっぱりお鍋。
ストーブの上や、焚き火に櫓(やぐら)を組み、そこへ置きっぱなしでOKだから簡単です。またダッチオーブンといって、大きな金属製のお鍋に鶏もも肉や野菜を仕込み、白ワインかけて蓋をして蒸せばアクアパッツァの出来上がり。
―――楽チンで、しかもおしゃれですね。
夏は野外で料理できるから、定番のバーベキューを楽しみます。あとは焼肉とか。以前流行った、燻製にハマった時期もありました。
―――それ以外の時間は、ご夫婦で何をして過ごすのですか?
基本的に、それぞれ思い思いに過ごします(笑)。
一応役割があって、テントの設営は夫が中心。私は料理の準備ですね。食事ができたら2人で焚火の炎を眺めつつ、食べたり飲んだりです。特に何を語り合うこともないんですよ。
食事の後は、スマートフォンでそれぞれ音楽を聴いたり映画を観たり、ゲームしたり。眠くなったら、好きなときに寝て……。2人が自分のペースで過ごしています。それが2人でキャンプを楽しむ秘訣かも知れませんね。
キャンパーへのきっかけは仕事のストレス!?
―――2人でまったり過ごすんですね。ご夫婦で共通の趣味なんて羨ましい!ところで、キャンパーになったきっかけは何ですか?
私たちがキャンプをするようになったのは、10年ほど前にキャンプ道具を買ったのがきっかけです。
夫と2人で近所の大型スポーツセンターへ行ったとき、何気なく見つけたのが3万円のテントでした。他にもテーブルなど、ひととおりそろえても6万円くらい。
そこで2人で「キャンプ、良いかも」って軽い気持ちで買って、キャンプに出てみたんです。すると自分でも意外なほど気に入って(笑)、週末にちょこちょこと行くようになりました。
最近はコロナウイルスの影響もあってアウトドアブームで、週末のキャンプ場の予約もなかなか取れませんが、当時はガラガラに空いていたし(笑)。
――― すぐにハマったんですか?
いえ。実は最初は、数か月に1回のペースでした。
ただその頃から、私の仕事が大変になってきたんです。当時、私は證券会社で10年目くらいでしたが、中堅で業務量が増大し、その上、上司からのプレッシャーもののすごかった。心労がたたって体を壊したくらいです。
――― 体調を崩すほどですか?!
精神的にも、肉体的にも追い詰められた。ものすごいストレスだったのでしょうね。週末は外へ飲みに行ったり、ショッピングでストレスを発散していたのに、人混みに出られなくなったんです。休日に電車にも乗れなくなり、そのため劇場での映画鑑賞もできなくなりました。
それに対して、キャンプ場は人のいないところにいくでしょう?「週末だけは現実から離れたい」という一心でキャンプへ出かける機会が増え、キャンプセットも良いものに買い替え、ますます頻繁に行くようになりました。
―――大変でしたね。
今考えると、鬱病になる一歩手前だったかも。キャンプ場では、SNSはすべてシャットアウト!会社のメンバーからのLINEも既読スルーして、返事しませんでした。したくてもできなかったという方が正確かな。業務連絡以外の話はしたくない。本当に逃げていました。
―――でも、そうした状態の薬師寺さんを救ってくれたキャンプの存在は大きかったですね。
外に出ていく、というのは良かったかもしれないです。
それにさっき、焚火が好きって言ったでしょう?とてもリラックスできるんですが、ちゃんと科学的な理由があるらしいです。焚火の音や光、揺らぎのリズムが脳の中のα波を増やし、快感や快適さを与えてくれるんですって。小川のせせらぎも同じ効果があるみたいです。
キャンプの達人の楽しみ方とは?
―――キャンプがあって良かった!おすすめのキャンプ場ってありますか?
よく行くのは和歌山県。先日の御坊市は初めてでしたが、南にある串本町の、大島にあるオートキャンプ場がお気に入りです。コテージやグランピングなど施設がしっかりしているし、清潔で、スタッフの対応も抜群。ドッグランもあります。
また近くには国の名勝天然記念物に指定の「橋杭岩」や、昔、トルコの船が難波して串本の人たちが救助したことを記念した「トルコ記念館」もあって観光できます。
和歌山は海沿いのキャンプ場が多いですが、山が好きな方なら、三重県の甲賀市とか、滋賀県にも多いですよ。ただ冬は寒い(笑)。
―――雪が積もったらどうするんですか?
雪中キャンプと言って、あえて雪景色の中で楽しむキャンプがあるんです。雪は、積もるとテントのすき間を埋めてくれるので、テント内はとても暖かくなるんですよ。
ただ、テントが雪でドロドロになるので、帰る時に畳むのが大変!宿泊中も、お手洗いに行くのにさえ、雪をザックザック踏みしめながら行くから、やっぱり大変です。私は雪予報が出た週末は行きたくないんですが、夫はあまり気にしないみたい。
でも、私が行きたくないと思っても、もう一人が行きたいと言えば行くでしょう?それが長続きするコツかなとも思っています。
―――いろんな形で楽しまれています。もう達人ですね。
コロナ禍でブームが来ているせいか、「よく行くんですよね?」とキャンプについて質問されたり、キャンプ友達も増えました。キャンプ人口が増えるにつれキャンプ用品を扱う専門店やメーカーも増え、選ぶのが楽しいですね。
あとは何といってもリモートワーク!仕事ができる環境が整ったキャンプ場が増えているんですよ。電子化OKの書類も増え、パソコンがあればキャンプ場も立派な仕事場に。そうすれば、空いている平日に行くことも可能です。
今は純粋に、キャンプを楽しんでいます!
■■■ プロフィール ■■■
独立系ファイナンシャル・プランナー
薬師寺洋子(やくしじようこ)
国内大手証券会社と外資系生命保険会社で計17年間勤務。
その経験を生かし、現在は独立系FPとして『薬師寺洋子FP事務所』を開業。
幸せの3つの原則『体の健康』『心の健康』そして『お金の健康』のことを、
三位一体でお伝えしています。
家族は旦那さんと2匹のうさぎ。
趣味は週末キャンプ
■■■ くわしいご紹介はこちら ■■■
https://instabio.cc/3051303Hq6WvT
(取材・執筆:國松珠実)
パートナーを「嫁」と呼ぶだけで損をする!?|仕事の引き出しvol.1
好感度の高い芸人は「嫁」と呼ばない
自身のパートナーを人前でどう呼ぶか――、特に男性経営者は、その呼称ひとつで損をしてしまうことがあるようだ。関西圏では「嫁」と呼ぶ人が少なくなく、愛着を持って「うちの嫁が…」と話しているのをよく耳にする。しかし、この「嫁」呼びに対して、居心地の悪さを感じる女性が増えている。
昨年の春先にも俳優の松山ケンイチが、テレビ番組で妻で女優の小雪を「嫁」と呼んだことについてネット上で議論となった。松山は自身の節約生活について語るなかで「髪は嫁に切ってもらうこともある」と言っただけ。個人的には、妻に対する感謝の気持ちも感じられ、特に違和感は覚えなかったが、SNSでは「自分は嫁呼びされたらイヤ」という声が相次いだ。
改めて振り返ってみると、「嫁」呼びがメジャーな芸人の世界においても、高感度の高い売れっ子ほど「嫁」と呼ぶ人は少ない。
たとえば南海キャンディーズの山里は、妻で女優の蒼井優が出演するCMにちなんで「WAON」さんと呼ぶし、千鳥のノブも「むっちゃん」と相性で呼ぶことが多い。麒麟の川島や、絶大な女性人気を誇るかまいたちの濱家も「奥さん」と呼んでいる。
たかが呼び方だが、現代は言葉に対してとかく敏感だ。20年前には普通に使われていた言葉が、いつの間にか差別や誤解を招く表現として見直されることも増えた。それは言葉狩りでは…、と感じるケースも少なくないが、「嫁」という表現ひとつで「パートナーをぞんざいに扱っている」という印象を与える可能性があることは知っておいてもいいかもしれない。
無難なのは「妻」呼び
人を加点方式で評価する男性に対し、女性は減点方式で評価するといわれる。女性の支持が不可欠な商品サービスを提供している企業においては、たとえジェンダー平等な社風だとしても、社長がどこかで「嫁」呼びをするだけで印象がマイナスに傾きかねない。SNSなど個人の発信が、メディアの発信力を越えることもある時代。Twitterなどでその発言を拡散されると、企業そのものの信頼度が下がることもあり得る。では、何と呼べばいいのか――。
正式かつ無難なのは「妻」だろう。
辞書によると、夫の配偶者が「妻」であり、「嫁」は息子の配偶者、「奥さん」は他人の妻となっている。ただ、改まった場でなければ「奥さん」と呼ぶのも、愛着とリスペクトを感じられて印象として悪くはなさそうだ。ちなみにタレントのヒロミがいう「ママ」は賛否両論あるので避けたほうが無難。「母」という立場以前に「女性」だと主張する人もいるからだ。
女性は正直、言葉選びに厳しい人が多いように感じる。それは、脳のつくりとして女性の方が感受性が強い傾向にあるからだと考えられるが、とはいえ男性サイドも、パートナーを「旦那」と呼ぶか、「夫」と呼ぶかで、その女性のイメージが少なからず変わるのではないだろうか。
「たかが呼び方に目くじらを立てなくても」という気持ちもわかる。ただ、ジェンダーの平等が浸透するにつれ、「たかが呼び方」が思わぬ火種となる可能性があることは覚えておきたい。
(執筆:鶴野浩己)