自分をおこす
出版ネッツ関西というフリーランスの団体で、「自分をおこす」というテーマでスピーカーをさせていただきました。
出版ネッツは、ライター、編集者、デザイナー、カメラマン、校正者など、フリーの出版クリエイターが集まる団体で、その道のプロフェッショナルがそろっています。
私も加入メンバーの一人ですが、最近、少し足が遠のいていました。今回、団体が主催する「仕事起こし勉強会」に久しぶりにお声をかけていただき、「高野さんが、なぜおふぃす・ともともを起業したのか、会社にしてどんなメリットがあったか、工夫や苦労は何かを聞かせてほしい」と依頼されました。
出版業界はいま、マーケットが縮小しています。本も雑誌もどんどん減っており、クリエイターの仕事も減っています。そのため、団体にも少し元気がないな、と感じていました。
元気になってもらえる話ができたら、少しは貢献できるかもしれない。
そこで思いついたのが「自分をおこす」というテーマでした。
話の中では、会社運営や営業の工夫やノウハウ的なことは、ほとんど話題に出しませんでした。それよりもっと大切なことを伝えたかったからです。
それは、生きる目的、クリエイターとしてどんな人生を歩きたいかという、自分の根幹です。
わたしは長らく、この根幹がぼんやりしていました。ライターとして関西一になれるといいな、とは思っていましたが、何のためにそうなりたいのかはあいまいでした。
でも、これがはっきりしてからというもの、行動への熱意が10倍に跳ね上がった気がします。
わたしがナンバーワンになりたいのは、スタッフのためです。ライターになりたいという気持ち一つだけもって、未経験からプロをめざすためにおふぃす・ともともに来たスタッフのために、一番をめざしたいのです。
そんなお話をしたところ、予想以上の反響がありました。みなさん前のめりに聞いてくださったのがうれしかった。出版クリエイター業界は、まだまだ元気になれると思いました。
気持ちひとつで、行動が変わる。たくさんの人の行動が変われば、業界が変わる。出版クリエイター業界が元気になるために、わたしがお手伝いできることはしようと思います。
医者になる
社長と医者は同じ。
この言葉が、最近身に染みます。
医者は患者のどこが悪いのかを見つけ出すために、患者の話にしっかり耳を傾け、症状の原因を探ろうとします。
社長も同じ。
社員やスタッフに元気がないときは、「元気を出せ」と励ますより先に、彼ら彼女たちになぜ元気がないのか、原因を探る方が大事なのだ…。
なるほど、と思います。
でも、これができていない社長、リーダーは多いのではないでしょうか。
実は、私もその中の一人です。
人にはそれぞれ、タイプがあります。励まされると燃えるタイプ、逆に萎えるタイプ。多少のミスをしながらでも成果を上げることを重んじる人、成果よりミスのないことを重んじる人。
でも、多くのリーダーはなぜだか「すべての人に同じアプローチをすればいい」と思っています。
「励ませば元気が出る」「叱って鍛えることが成長につながる」などです。
人のタイプが違えば、アプローチの仕方も声のかけ方も違ってしかり。風邪なのかインフルエンザなのかで、薬がまったく違うのと同じです。
インフルエンザにかかっている人に、いくら風邪薬を処方しても、まったく良くなりません。悪くすると、ますます悪化します。
これと似たようなことが、人を育てる場面でも起きていると思います。
私は最近、このことに気づかされました。
そして、スタッフやメンバーに接するときは、医者になろう、と思っています。
人財育成に困っているリーダーのみなさんに最も必要なのは、この「医者の視点」かもしれませんね。